性格を変えることができるか、性格は生まれつき決まっているのか、環境によって変わるのか、これはまだ誰も解明していません。いろいろなひとが研究していますので、それらの心理学者の実験を検証してみたいと思います。
生まれつき決まっているのかどうかを調べるには、一卵性双生児がよく使われます。一卵性双生児は全く同じ遺伝子なので、環境によってどれだけ影響されるかを比較できます。パートの研究した知能指数の相関関係によると、(相関係数とは偏差値と同じような物で、50が平均、100なら完全に一致し、0なら全く一致しないという意味です) 同じ環境で育った一卵性双生児 92 違う環境で育った一卵性双生児 87 二卵性双生児 同性 55 異性 56 同じ環境で育った兄弟 53 違う環境で育った兄弟 44 一卵性双生児の場合、知能指数はどのような環境であっても相関関係がかなりあり、知能は生まれつき決まっているということになります。パートが考える知能に及ぼす遺伝と環境の影響の比率は、8:2です。努力しても2割しか効果がないということですか、厳しい意見ですね。これは知能だけですので、他のものも見てみましょう。ジェンセンが調べた同じような研究ですが、 身長の相関関係 同じ環境で育った一卵性双生児 96 違う環境で育った一卵性双生児 94 同じ環境で育った二卵性双生児 47 〃 兄弟姉妹 50 身長はいくら牛乳飲んでも伸びないということですね(笑。 学業成績 同じ環境で育った一卵性双生児 95 違う環境で育った一卵性双生児 71 同じ環境で育った二卵性双生児 88 〃 兄弟姉妹 86 この数字はちょっと意外ですね。知能は環境に影響されないのですが、学業成績はかなり影響されているということになりますね。ちょっと希望が見えてきましたね。性格について調べた研究は、私の知っている限りではないので、性格については言えないんですが、環境によって学業成績が変わってくるのであれば、性格も環境で変わってくる可能性もなくはないような気がしますね。 |
次に、乳幼児期の経験が人格を決定づけてしまうのかということを検証します。これは人間で実験するのは不可能ですので、動物で実験です。ハーロウの子ザルの社会的遮断実験では、生後3ヶ月隔離したサルは、サル社会へ復帰することができたのに対し、生後6ヶ月以上隔離したサルは、遊び、防御反応・性行動、全てにおいて正常ではなく、サル社会への復帰は不可能でした。サルの成長の早さは人の2〜3倍ですので、人間にあわせるとやっぱり三つ子の魂百までなのでしょうか?
ハヴィーガーストという人はこんなことを言っています。「人の人生それぞれの時期に生ずる発達課題を達成すれば、その人は幸福になり次の発達課題の達成も容易になるが、失敗した場合はその人は不幸になり社会から承認されず、その次の発達課題を成し遂げるのも困難となる。」厳しすぎる意見です、とても耳が痛い。社会から承認されないですか・・。 そのハヴィガーストが言う発達課題とは次のようになっています。 乳幼児期 歩行の学習 話すことの学習 善悪の区別、良心の発達 など 児童期 日常の遊びに必要な身体的技能の学習 遊び仲間とうまくつき合うことの学習 社会集団や制度に対する態度の発達 個人的独立の達成 など 青年期 両性の友人との新しい・成熟した人間関係を保つこと 男性または女性としての社会的役割の達成 両親や大人からの情緒的独立の達成 経済的独立の目安を立てる など これを見てどう思います?私自身は児童期の課題が達成できなかったから、青年期の課題なんてとうてい無理だったんだな、という気がしてきました。そこからやり直すしかないんですね。幼稚園に行けってことですか?(笑。 これらを見ても、性格を変えるのはとても難しいことがわかります。でも、性格を変えるのではなく、その性格のままで適応する方法を考えた方がより簡単ではないかと思います。変えるんじゃなくて慣れる。知能が低くても成績は勉強でカバーできるのと同じです。慣れてくれば自然と自信もついてきます。性格は変えられないのか、と絶望しなくてもだいじょうぶですよ。 |